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黒い頁の本「終」

・新任の先生を一目見にいった図書館で荻窪と僕が出会ったのは、先生らしからぬ先生と、
黒いページの本だった。
・荻窪は先生の落としたその本のページを見た途端、まるで別人のように暴れだした。
・それは人が目にしてはいけないものらしい。


「おいっ、何があったっ!」
 廊下をドタドタと走る音がして、誰かが飛び込んでくる。
 肩のあたりががっしりとした体育科の先生が飛び込んできた。
「新任の山本、先生でしたか………どうしたんですか?」
「いえ、本を見て回ってたら、本棚が突然崩れまして……」
「え? 本棚が?」
 僕と荻窪は机の上に平積みした本を少しずつ本棚に戻していた。
「お前ら、もう授業始まっているぞっ、何やってるんだっ」
 そういうと、引き戸の扉に手をかけて、半身だけ図書館の中に突っ込んだ体育教師が僕たちを見つけて、中に入って来る。
 この体育科教師はすぐ怒鳴るから、どのクラスの誰からも人気がなかった。
 どうせ、ここでおとなしくしていても、この時間の間はお説教で終わってしまう。
「あの、先生………」
「止めないでください、山本先生。どうせこいつら、授業をすっぽかすつもりでここに来たんですよ。それでふざけているうちに棚を壊したんですわ」
 先生は手を広げて、体育教師の進行を止めた。だけど、体育科教師は人の話も聞かずにその手を払いのける。
 それでも先生は追いすがって、体育教師の前に立ちはだかった。
「先生、どうしてここにいらっしゃったんですか? さきほど、校長先生がおよびでしたよ」
「私はっ………あれ、校長先生? 呼んでたんですか?」
 ついさっきまで、高出力ヒーターみたいカッカしていた体育教師の顔から力が抜けて、ここはどこだという顔になった。
 山本先生は返事の代わりにうなづいて、手で出口へと彼をいざなう。
「お前ら、早く教室戻れよ」
 いつもの体育教師らしくない軽い注意に僕と荻窪は生返事。
 体育教師がいってしまってから、山本先生に聞いてみる。
「今のどうやってやったんですか?」
「そうだね、未成年には早いかな」
「えー、そんなこと言わないでね、ね」
 と、そんな先生に荻窪が食い下がったが、静かに笑って山本先生はごまかすばかりだった。
 こうして、僕たちは事なきを得た。
 だけど、どうしてこうなったのか、今だに夢うつつだ。
 間違いなく一時間、僕と荻窪はサボっていた事には間違いがなく、給食の時間、担任の先生にしっかり怒られた。
 荻窪も何があったか覚えていないし、僕だって………
お昼休み明けの授業は数学で、生徒の何人かは食後の眠気に襲われて、居眠りをしていた。
「えー、この場合はαにβを代入する事で、βのみの式を作る事で………」
 数学の授業も全然頭に入ってこない。
 ただ、右二の腕のしびれた感覚と熱っぽさは間違いなくあった。列車の線路みたいに二本線の赤い打ち身の後があったし、そしてなにより、今もそう頭の中で考えれば、机の上に転がしたシャープペンシルは飛びそうな気がする。
 授業終了のチャイムが鳴り響き、教師は宿題を口頭で出すと、そそくさと教室を後にした。
 荻窪を捕まえて話をしてみた。
「荻窪、図書館の山本先生がさ………」
「あ? た書簡の先生はあの上山だろ。図書館にいけばいるよ。入っただけで怒鳴られるけどな」
「え?」
「え、じゃないだろ。それより、次は体育だぜ。ぼーっとしてると先にいっちゃうからな」
 そういうと何の疑問もなく、荻窪は運動着の袋を肩にひっかけて、体育の授業へと向かっていった。


 学校帰り、チャイムが鳴れば、半分ぐらいの生徒が昇降口から一斉に飛び出してゆく。
 僕もその一人で、一人で考え事をしながら歩く。だから、少しうつむき加減。
 荻窪は毎日、野球部の練習で日暮れ近くまでは帰れない。
 いつもと同じ帰路、いつもと同じ風景、いつもと同じ学校、だけど、僕は違う。
 通学路をふらふらしながら、5分ほど歩くと、僕を追い越すように走ってきた黒いコンパクトカーが僕の横で止まった。
「山本先生?」
 運転席側の窓が下がると、山本先生がいた。
「今日は大変だったね。送っていてあげる。乗って」
 僕は促されるまま乗り込んで、すぐに荻窪の事をきいてみた。
「あの、荻窪が先生の事忘れちゃったみたいで………」
「そうよ、だって忘れてもらったもの」
「え?」
 現実ではあり得うそうもない事を平然とそうですと言ってのけた。いや、僕だって起きた事だって思っているけど………
 僕が乗り込んだ黒い車は教えてもいないのに、僕の通学路をすいすいと進んでゆく。
「あの…」
「あなたが見てしまったのは「黒の教典」と呼ばれるものなの」
「それで、僕どうなっちゃうんですか?」
 真剣な眼差しで住宅街を乱暴なスピードで走っていた山本先生が車を止めた。そして、突然小さく笑う。
「案外冷静なのね」
「いえ、結構あわててます。今もあの力の事も」
「そう、じゃあ………」
 山本先生は運転席から助手席に乗った僕にむかって身を取りだした。
 そして、僕の顎を取ると、目がそらせないように、顔を二十センチぐらいまで近づける。
「選んで」
「選ぶって………」
「今までの生活を捨てるか………」
「もうひとつは?」
 それ以上は何も言わなかった。
「記憶、消されちゃうんですね」
 きっと、瞳が合うか、口づけをされると記憶が飛んでしまうに違いない。
 迷っていた。
 その前にもうひとつぐらい聞いたって………たぶん、時間にしたら1分か2分ぐらいだったと思うけれど、長い長い60秒から120秒だった。
 だって、どうしたらいい? 女の人の顔がこんなに近くにある事なんて………視線をそらしたくても、顎を掴まれているから逃げられない。
「……ぁの……」
 やっと、喉の奥から持ってきた言葉は吐く息の量が少なくて、かすれて聞こえた。その言葉さえも山本先生に人差し指でふさがれてしまう。
「どっちにしても、その前に………ありがとう、助けてくれて」
 僕の答えは決まった。そんなこと僕が決めてもいいのかわからないけれど。
 それを伝えると、今まで僕に迫ってきたような雰囲気はどこかにいってしまった。僕にはそう思えたんだ。
「さぁ、これから忙しくなるよっ」
 突然車は急発進。首がガクンッってなってびっくりだ。
「あ、あの、僕、どこに連れて行かれるんですかっ!」
「ふっふっふっ、行けば判るっ、行けば判るって」
「ちょっ、その軽い乗りやめましょうよ」
「大丈夫、運転手は私だから」
「ひ、ひぃぃぃ」


 続かないかも

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2013.03.30 | コメント(1) | トラックバック(0) | 未分類

コメント

素敵なOP!

いいねぇ~!
これからどうなっちゃうのやら!!

2013-03-31 日 07:00:29 | URL | ちみにぃ #Dfd5i7ZE [ 編集 ]

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